極上の他人



亜実さんの自宅は、会社から電車で20分ほどの住宅街に建てられた新築だ。

亜実さんと旦那さんが設計した自慢の家。

社内恋愛の末に結婚した旦那様は、最近営業部に異動し注文住宅の設計を手掛けている。

三歳年下の旦那様とは結婚五年を経ても尚新婚夫婦のように仲が良くて、本当にうらやましい。

「ごめんねー。朝、葉乃のお泊り保育の準備をばたばたして幼稚園に連れて行ったから散らかってるのよ。適当に座ってね。何かつくってくるからゆっくりしていて」

「あ、手伝いますよ」

「いいのいいの。ふみちゃんは料理が苦手だって知ってるし。私も手の込んだものは作らないから……あ、ワイン、先に飲んでる?」

「いえ、いいです。亜実さんと一緒に飲みたいんで、いいです」

「あら、そう?じゃ、ちゃちゃっと作っちゃおうかな。えっと、何が残ってたかな……」

家に着いた途端、部屋着に着替えた亜実さんは、キッチンで何やら作り始めた。

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