極上の他人
お母さんに好かれたことなどないと思っていたし、愛情を求めても返してくれるなんてないと悟っていたけれど、こうして目の前でお母さんに睨みつけられると、私自身全部を否定されたようで、つらい。
「史郁」
俯く私の背後から輝さんの手が伸びて、ぐっと抱きしめられた。
そして、私の肩に頭を乗せ、「俺も、苦しい」と震える声で呟いた。
「輝さん……」
「こんなバカな女から、史郁のようないい女が産まれてきたなんて奇跡だな。
よっぽどおじいさんとおばあさんの育て方が良かったんだろうな」
「私、いい女なんかじゃないよ」
「照れるなよ。俺にとっては、史郁はいい女に違いないんだ」
私の耳元にそう呟く輝さんに、どう答えていいのか。
目の前には鬼のように厳しい顔で私を睨むお母さん、そして背後には私をとことん甘い言葉でその胸に引き込もうとする輝さん。
あまりにも予想外の展開が続いて、感情がそれに追いつかない。