極上の他人


「気持ちは落ち着いたか?」

「緊張感はさすがに消えないけど、大丈夫。どんな結果が返ってきても、ちゃんと受け止めてこれからにいかすつもりだから」

「今回だめ出しされても、練り直してお客様の意向どおりの家を考えればいいんだ。何度でもな」

「うん。まだまだ修行中だからね……いい家を設計できるように頑張る。
いつかは、輝さんのお店の設計ができるように精進するから」

「ああ、期待してる」

輝さんは、ふふっと笑う私の頭を軽く撫でると、駅前の駐車場から車を出した。

会社までは10分程度の道のり。

その間に、もう少し気持ちを落ち着けないといけないな。

今日のことを考えて、私は夕べから緊張していた。

夜中を過ぎても眠れない私を気遣い、輝さんは私の部屋に来てくれて一晩中ベッドの中で抱きしめてくれた。

緊張している私の心が少しでも和らぐようにと、ぽつぽつと話してくれたりもした。

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