極上の他人


輝さんと気持ちを寄り添わせ、ちゃんと付き合うようになってから一年以上が経つけれど、新店舗をオープンさせて忙しい輝さんと過ごせる時間は限られている。

私も、仕事が忙しくてなかなか会いに行くことができない。

いっそのこと一緒に暮らしてもいいんじゃないかと思うけれど。

『一緒に暮らすのは、結婚してからだ。誠吾先輩にも結婚の許可をとって、ちゃんと段取りをふんでいこう』

という輝さんの気持ちにより、相変わらず私は誠吾兄ちゃんの部屋で暮らしている。

今すぐ私と結婚したいと度々口にしながらも、それを我慢してくれる輝さんには申し訳ないけれど。

ようやく仕事に対する喜びや苦しみを理解し、やりがいを感じ始めた私は、もう少し結婚を待って欲しいとお願いしている。

結婚するのなら輝さん以外には考えられないし、早く輝さんと一緒に暮らして家族になりたいと思う。

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