極上の他人



「……あ、わかった?」

くすくすと声をあげる私の頬を両手で挟み、輝さんはかなり真剣な表情で問いかけてくる。

「間違いじゃないよな?勘違いじゃないよな?」

「うん、間違いでもなく勘違いでもないよ。今日、お医者様に診てもらった。今8週目。おめでとうございます。って言われちゃった」

涙声になった言葉尻に照れながら、私は輝さんの首に飛びついた。

「ごめんね。私が妊娠できないのは小さい頃に味わった苦しみが精神的に影響しているのかと心配してたよね?……私も心配で、たまらなかったけど、ようやく赤ちゃんがやってきてくれました」

「そ……そうか、そうか。でかした。史郁、偉い偉い」

私を励ましてくれる時のように、私の頭を撫でてくれるけれど、いつもと違うのは、その手が震えていると簡単にわかることだ。

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