極上の他人


相変わらず震える手で私の頭や頬を撫でまわす輝さんは、徐々にその手を私のお腹に移して話しかける。

「きっと、この子のおかげで史郁は今まで以上に強くなれる。『設計デザイン大賞』なんて目じゃないくらいにな」

「え?私が強くなる?」

「そうだ、母は強しっていうだろ?きっと史郁も例外じゃない。子供を産んで、肝っ玉母ちゃんになって、何があっても家族を守っていくんだ」

「肝っ玉母ちゃん……」

「ああ。いいな、肝っ玉母ちゃん」

輝さんは、私のお腹を気遣うように、そっと私を抱き寄せて、大きく息を吐き出した。

私の背中をそろりそろりと撫でながら、何度も体を揺らしている。

嬉しくてたまらないようだ。

もちろん、私も嬉しくてたまらない。

< 458 / 460 >

この作品をシェア

pagetop