極上の他人


「……今、何時だろう」

目が覚めた時、部屋の中は既に暗くて、体を起こして目を凝らした。

ベッドサイドに置いてあるスマホを見ると、20時を表示していた。

「うわっ。寝過ぎだ……」

そっとベッドからおりて部屋の明かりをつけると、病院から帰って来た時に脱ぎ捨てた服が散らばっていた。

朝からの高熱で体はだるく、服を片づける余裕なんてなかったし、とりあえず薬を飲んだ後はベッドで眠りたくて仕方がなかった。

足元にある服を拾い上げてハンガーに掛けながら、午前中よりも体が楽になっていると気づいた。

体に力が入らないとはいえ、立ってもフラフラしないし、肩から背中にかけてのだるさも軽くなっている。

薬が効いたのかもしれない。

額に手を当てると、微熱程度の熱さを感じるだけで、それほど高くもなさそうだ。

キッチンのテーブルに置いたままの体温計で測ってみると、37.5度。

これなら週末をゆっくりと過ごせば月曜日には会社にも行けそうだな。

ほっとした途端、今日はあまり食べていなかったせいかかなりお腹がすいていると気づいた。


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