極上の他人
熱のせい



そんな事を考えながらフローリングをワイパーで綺麗にしていると、玄関のチャイムが鳴った。

特に友達と約束をしていた記憶もないし、誰だろう。

ダイニング脇にあるモニターを覗くと、そこには。

「え、輝さん?」

モニターの前には、もう会うこともないだろうと思っていた輝さんがいた。

怒りを露わにした千早くんからの夕べの電話を思い出す。

そう言えば、千早くん、何かを言いかけていたような。

モニター越しに、輝さんの様子をじっと見る。

何も言わずにお店から帰った私を気にして、わざわざここまで来たんだろうかと、どきりとするけれど。

それ以前に、どうして私の自宅を輝さんは知っているんだろう。

モニターの前で立ち尽くしたまま輝さんの顔を見ていると、再びチャイムが鳴る。

少し焦っているような輝さんの様子に違和感を覚えつつも、初めて見る余裕のない輝さんから目が離せなかった。

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