秘密の言葉
「はい、じゃあ乾杯しようか?」

「もう、早くお酒飲みたいだけでしょう?」

お母さんは、お酒大好きだからな…。
大人になったら、一緒に呑みに行けるかな。

「では…。メリークリスマス!」

「メリークリスマスっ」

カンっと、グラスがぶつがる。
グラスって言っても、私はジュースね。

「花もいつか、彼氏とクリスマス過ごすのよね…」

「まだ、先かな…」

モグモグと骨つきのお肉頬張って、話を誤魔化した。
お母さんは、相変わらずお酒飲んでる。
強いから、そうとう呑まなきゃベロベロにはならないけど。

「昨日、失恋したからそんな言い方してるのね」

お母さんは軽々しく、凄いことを言った。
なんで、分かるのだろうか。

「…そうだよ。振られたからもう好きな人作らないの」

「あれ、失恋して部屋に篭って次の日顔が酷いことになるのは、昔の私にそっくりだけど…私は失恋しても諦めはしなかったな?何がダメなんですか!ってよく相手の人困らせてた」

そこまで、打たれ強くないからな…。
お母さんは、昔から強かったんだよ。

「私は真逆だったよ?『嬉しいけどごめん』って言われて、何か自分が恥ずかしくなって逃げたもん」

だって…だって…。
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