秘密の言葉

新年

__クリスマスは過ぎ、クリスマスイブ以来水木君には会わないまま年を越した。
別にモヤモヤはしていない。
もう新学期が始まる。
会った時、ゆっくり話せばいい…そう思ってる。
吹っ切れたとは到底言えない。
でも、引きずってはない。
お母さんとも色々話したしね。
昔の事は、まだ話してないけど…。
でも、春になったら話そうと思う。
春、か…。
あっという間に雪も溶けて行くんだろうな。
でも、早くそうなって欲しいとも思う。
雪が溶けて、まだひんやりしている地面から小さく芽をだす花々。
春の日差しの暖かさで、元気に育つ草花。
私の大好きな景色。
でもそれは、きっとあの男の子がいないと、未だ未完成の景色なのだと思う。
第一、昔の事をもう何も思わないなら、このお花のネックレスもとっくに捨ててるよ。

「そろそろ…起きなきゃ」

今日は始業式。
学校に行くことは辛くない。
恵美や水木君のおかげで、毎日の違う景色に出会えるから。

「あけましておめでとう、今年もよろしく…恵美」

「あけおめ〜ことよろ〜!…久しぶり、水樹!」

それから、長い冬が続く。
2月は節分やバレンタインがある、きっと忙しくなる。
まあ、あと半月もあるけどね…。
< 48 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop