澪ちゃん恋をする
「院長みたいなお医者さん」
院長はビックリしたように紗枝を見た。
「あと、仁菜ちゃんとケーキ屋さんもやりたかった」
「…紗枝…ちゃん…」
仁菜は涙を浮かべながら紗枝を見ていた。
「…あと、お父さんとお母さんみたいに結婚もしたかった」
母さんは、親父に支えられながら紗枝の話を聞いていた。
「…あとね、あと…」
そう言って紗枝は俺を見た。
「お兄ちゃんみたいに…不良にもなってみたかった…」
「…紗枝…」
紗枝の言葉を聞きながら、俺たち5人は、何も言えずにその場に立っていた。
「紗枝、知ってたよ…。そんなに長く…生きられない、こと…」
「紗枝っ!」
母さんは親父から離れて紗枝をギュッと抱きしめた。
紗枝は母さんの腕の中で目をつぶって言った。