澪ちゃん恋をする
「え…あ、いや…」
すこし戸惑いながら右耳に付いたピアスを指でいじっていた。
あたしは口を開いた。
「家の人に…心配かけさせたくないから」
「親に…か?」
田端が不思議そうに聞いてきた。
あたしは話を続けた。
この人に言ってもなんの意味もないのに。
でも、あたしの口は止まらなかった。
「ううん。あたしは両親がいないくて、今幼なじみの家にお世話になってるんだけど、その人たちに心配かけさせたくないの。見えるとこに怪我したら、心配しちゃうでしょ?」
あたしはそう言って目を閉じた。
おじさん、おばさん、そして玲次。
今までいろいろ迷惑をかけた。
これ以上迷惑はかけられない。
田端は少しの沈黙の後、口を開いた。
「俺…お前を傷つけるようなこと、できなそうだ」
「え?」
あたしが目を開けるとすぐ近くに田端がいて、あたしの手を縛っているネクタイを解き始めた。
そしてネクタイが解けると田端はあたしを見て言った。