夕凪に映える月
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そんな事件があった次の日。
いつもの学食でコトの敬意をこっちゃんに説明をすると
「…お前はバカか!!」
「ひっ!!!」
「せっかくのチャンスを無駄にしやがって!!」
昼食の中華丼をスプーンですくいながら、こっちゃんはプリプリプリプリ怒っていた。
「やっぱり……そう思う…??」
持参したお弁当を広げながら、ハァとため息を吐くと
「おう、思うね。
妹から“オンナ”に昇格する大チャンスだったのに……!!このバカ!!」
こっちゃんは中華丼を勢いよく口に入れながら、私にバカと叫び始めた。
人でごった返す、お昼時の学生食堂。
こっちゃんと私の恋愛相談は、もっぱらこの時間に行われている。
「アツ先輩も言ってたんだろ?
こう思う俺がおかしいんだって。」
「うん……。」
「ダメもとでいいから告白すりゃ良かったんだよ。凪紗は妹じゃなくて“オンナなんだ”って意識させる大チャンスだったのに……自分から妹宣言しちまって!!オマエは何がしたいんだよ、何が!!」