緊急指令:恋せよ乙女っ!
「ちえ、どうしたら君は僕を好きになってくれるの」
悲しそうに寂しそうに彼女の両方の頬を手のひらで包み込む。
「私は…」
言い掛けて、止まる。
(私は、何…?今なんて言おうとした?)
自分のことなのに分からない。
「もしかして、他に好きな奴でもいるの」
「え?」
「宮内、とか」
ルイスの出した名前に目を丸くする。
「あの…、何でそこで宮内くんの名前が出てくるんですか?」
「………だってちえ、敬語じゃないし」
僕には敬語なのに、とふてくされた子どものようにムスッとするルイス。
それにパチクリとちえは目を瞬かせる。
「…え、それだけでそう思ったんですか?」
「僕にとっては大事なことなんだよっ!……それに、なんか、親しそうだったし」
今にも頬が膨れそうなそれは、昨日の意地悪そうな顔からは想像もつかなかった。
「あーもーっ! で、結局のところはどうなわけっ!」
最後は投げやりに叫ぶが、その表情は真剣そのものだ。