高梨さんの日常
★★
高梨が泣いた。
泣きじゃくるとか感情を表に出すわけじゃなくて、ただ涙を流していた。
どうしてなんだかわからない。
なんで泣いてるの?どうしたの?
俺がいるから大丈夫だよ。
そう言いたい。
でも、いきなり涙を流す高梨に、何も知らない俺はどう言うのが正解だかわからない。
「ツカサ、こっちおいで」
ぼうっとする俺に代わって高梨を客間に通して座らせた姉。
緑茶を入れると出て行って、高梨と二人きりになった。
きっと気を使ってくれたんだ。
姉はまわりがみえるから。
横並びのまま、恐る恐る高梨の頭の上に手をおいて、濡れた髪をぐしゃぐしゃとタオルドライする。
高梨は何も言わずに俯いてそれを受け入れていた。
「わたし、どうなってる?」
少しして、ポツリとつぶやいた。
「泣いてるよ」
何て言うのが正解かはわからない。
でも、正面からぶつかった方が高梨はこっちを向いてくれるはず。
「泣いてる、かー」
まるで他人事みたいにそんなことを言う。
「泣いてるよ。高梨は今。」