どこにでもある恋のはなし
さようなら
彼は、あたしを求めたから
あたしは彼にこの身を預けた。
そしたら愛が生まれたから
この関係は続くと思った。
あまりにも短絡的でお気楽な思考に
じぶんでも笑っちゃう。
そんな始まりだからこそ、
終わりは唐突に訪れるのに。
彼は最後に、誰でも良かったんだ。と言った。
あたしは、
誰でも良かったんならあたしを
選ばないでほしかった。と言った。
そんな冷たいこと言うなよ。と
まだ無邪気にじゃれついてこれる彼に吐き気がした。
触らないで。とそう言えば
つまんねー女。と捨てられた。
待って。と言えなかったから
枕に顔を押し当てて泣いた。
どうしてあたしを選んだの?と聞けなかったから、
携帯を窓の外に放り投げた。
Prrr…
放り投げた携帯が、
音をならすのに気づいたら
とっさに取りに走ってた。
息をはずませて携帯を見れば
割れた液晶に彼の名前。
¨もしもし¨
聞こえる声がもう懐かしくて
思わず涙がこぼれそう。
声が震えてしまうのが怖いから、
声を出せないけど、代わりに耳を澄ます。
¨誰でもよかった¨
2回も言うことないじゃない。
こらえてた涙が溢れ出す。
¨でも、お前でよかった¨
出せない声の代わりに、
あたしはうんと頷いて見せた。
end