私はまだ、ガラスの靴を履く勇気がない。
「ちなみに、…怒ってます?」
彼は私の方をキッと見て、言った。
「……別に」
あ、あの…っ と、しどろもどろ過ぎるほど動揺しながら私は謝った。
「ごめんなさい…っ」
「なんでおまえが謝んの?」
「私、知ってたんです。あなたが一番だったってこと。……本当にすいませんでした。あんな真似して」
「…へぇ」
私は、頭を下げたまま次の言葉を待った。
「頭、上げろよ」
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