続・危険なキス
「だから先生は悪くない」
どうにか先生の心を救ってあげたくて、真実を話す。
だけど先生は目を伏せると、自嘲気味で口を開いた。
「だけど……あいつの姉貴……美央は……
本気で相手もしていなかった俺のことを、死ぬまで想ってたんだろ。
そんな俺が、今さら一人の……紫乃の気持ちにだけ応えるなんてできるわけねぇだろ」
それは、想われ人のあたしにとって、胸が痛む言葉。
お互いに両想いのはずなのに
応えてはくれない……。
「美央さんは……
楽しかった、って……。
先生を好きになってからの人生のほうが、今までの人生よりも楽しいって……言ってたみたいです」
別れ際に聞いた、川崎さんの言葉。
(姉貴、そんなこと言ってたわ……。
それにアイツのことを好きになってからのほうが、すげぇまともな人間になってたし)
先生を好きになった意味は、必ずあるから……。