続・危険なキス
「……」
車の中で、流れる沈黙。
何をどう話したらいいのか分からない。
全く関係ない世間話をするのも、なんだかしらじらしいし、
自分から美香さんのことを聞くほど、勇気なんかなかった。
バイト先から家までなんて、車で走れば15分程度。
家の前にはあっという間に着いた。
「わざわざ送ってくれて……
ありがとうございます」
結局切り出せないまま。
先生も黙っていて、やりきれない気持ちのままドアに手をかけた。
「不安になることなんて、なんもないから」
前を見つめたまま、先生が口を開いた。
思わず、ドアから手を外し、振り返る。
「あいつは……お前が想像してる通り、俺が初めて本気で付き合った女。
だけどもうそれは、10年前に終わってるから」
先生は振り向き、少しだけ困った表情をあたしに向けた。