続・危険なキス
「あ……っと……。
紫乃ちゃんの彼氏さんって、この人?
すごいカッコいい人だねっ」
大きく見開いていた美香さんの瞳は、にこっと微笑みあたしへ振り向く。
「紫乃ちゃん、美人さんだからお似合いっ……。
うらやましいなっ」
にこにこと笑い続ける美香さんが、今無理やり笑っていることくらい分かる。
だけどあたしは、どう切り替えしたらいいのか分からなくて、ただ黙って美香さんを見返していた。
「じゃあ、私は帰るね。
お疲れ様ー!」
「美香さんっ……」
ようやく振り絞って彼女の名前を呼んだ時には、美香さんはあたしに背を向け歩き出していた。
あたしの声は聞こえているはずなのに、止まることのない足。
きっと彼女は今、涙を堪えているかもしれない。
「行くぞ」
「……」
先生も、美香さんを追いかけることはしない。
一人先に車に戻り、乗り込んでいた。