続・危険なキス
 
どれくらい座り続けていたのか分からない。

道行く人が、あたしを不審な目で見ては過ぎ去っていく。


少女漫画のように、こんなタイミングで先生が追いかけてきてくれるわけもなくて
惨めな体を起こした。


もしかして……
先生から連絡……。


そんな淡い期待を込めて、鞄から携帯を探した。


だけど


「あ、れ……」


いつもしまってあるはずの、鞄のサイドポケットに手を突っ込んでみてもそこに携帯らしきものはなくて
鞄を全開にして中を覗き込んだ。


「……ない…」


あたしの行動は虚しく、携帯は鞄のどこにも入っていなかった。


もしかして……
バイト先のロッカーかも……。


バイトが終わったあとは、ほとんど虚ろな状態だった。
何も考えずに、ただ先生と美香さんのことばかり考えて、着替えを済ませてすぐに外に出た。

だから携帯が、ロッカーの中に置き忘れてあってもおかしくない。


「戻ろ……」


鞄のボタンを留め、重たい足を引きずりながらバイト先へと戻った。
 
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