金色・銀色王子さま
「麻衣さん~?」
後ろを振り返ったナナは、麻衣とバイクの男に目をやった。
「ちょっと!サキさん!あれ!」
「え?なに…ん?藤井ちゃん…?と、だ、だれ?」
「片桐っ!な、なんで…」
麻衣は何がなんだか分からず目をまるくさせている。
ヘルメットを取った片桐は椅子の下に入れていたもうひとつのヘルメットを麻衣に渡した。
「早く乗って。時間ない」
「あ、待って片桐っ!仕事はぁ?!」
「ちょっと抜け出してきた。早く」
麻衣の手を取ると、引っ張って後ろに乗せる。
「麻衣さん!!!!」
ナナの声が静かな道に響く。
サキは口をあんぐりさせて、状況が飲み込めていないようだ。
麻衣だって戸惑っている。
だって、今日は会えないって思ってたから。
「ごめん!また明日!!」
他に説明している暇もなく、片桐は二人に軽く頭をさげるとバイクを走らせた。
「寒いから、すぐ近くな」
その言葉通り、5分も走らせない程度に着いた場所はイルミネーションのきれいな公園だった。
「…なに?」
「なにというか…突然すぎてびっくりしてるの。戸惑ってるの」
「あ、そう」
片桐は自販機で温かいコーヒーを、麻衣にはカフェオレを渡した。
そしてベンチに腰掛けた。
「昼間、カイトに会ったんだろ?俺もカイトに会った」
「あ、そうなんだ!ふふっ、1週間ぶりだったけど元気に戻ってきてくれてよかったよね」
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