好きなんて、言えるかよ。


高村はすごい切な気な顔で言ってきた。


本当は、誰を好きになったっていいでしょとか

私の勝手でしょとか言いたい事はたくさんあったのに


「……っ。」


言葉が詰まってしまう。


だってあんな顔、するから

そんな表情で私の髪を優しく握ってくるから。


見ていられなくなって、パっと目を逸らすと


「早く貸せよ。」

彼は元の表情に戻って、私からパンを奪いとった。


「遅せぇんだよ。

今度から3分で買ってこい」


やっぱりあれは、勘違いだ。

< 35 / 327 >

この作品をシェア

pagetop