浮気男よ、散れ
その後、カウンターの中に入って来た三神君は、私のバッグと私の腕を引っ張るとそのまま歩き出した。
唖然としたままの大輝に何も言えないまま、
図書室を出て下駄箱まで歩く。
それまでずっと引っ張られたままで、
下駄箱でやっと離されると、
無言のまま靴を履きかえた。
私がもたもたしながらも靴を履きかえ終わると、
三神君は私のバッグと自分のバッグを肩に掛けて、
左手で私の腕をまた掴んで歩き出す。
「家、どっち?」
校門を出ると私に向き直り聞いてくる三神君。
私はテンパりながらも『こっち』『ここを右に曲がって』『そこの角を左』と説明しながら、
腕を引かれたまま三神君と歩いた。
道の説明以外はやっぱり会話は無くて。
『ここ家』と家に着くまでずっと緊張しっぱなしだった。