不器用男子の、恋。


四角公園に到着して七星に声を掛けようとした時、七星が俺の制服をツンと引っ張った。


「……西崎くん」


「ん?」


「ちょっと……話いいかな?」


目線を下げた七星は何だか大人っぽく見えて、ドキッと心臓が跳ねた。


……なんだ?


制服を掴む七星の手に力が入る。


「……あのね……、今まで……ありがとう」


「え?」


「嬉しかった。西崎くんの彼女になれて……。ずっと好きだったから……本当に、すごく幸せだった」


「あ、あぁ。別に」


俺だってずっと好きだし!超幸せだし!


お互い様だ!


その時、すっと七星の手が俺の制服から離れた。


「?」


いつも思うけど、服をきゅっと握る七星はすっげぇかわいくて、その姿だけで抱き締めたくなる。


離れてしまった手を見ると、何かすごく寂しくなった。

 
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