不器用男子の、恋。
数分間そうした後、モゾモゾと七星が動き、俺から離れようとする。
でも、俺は離れがたくて、七星の腰に手を回したまま離さなかった。
七星は窺うように俺の顔を見上げてくる。
「……っ、何で?何で助けてくれたの?」
「何でって……当たり前だろ?」
好きな女を助けるのに理由なんていらねぇし。
「……でも、私のこと嫌いなんだよね?」
「……は?」
七星の言葉に俺は首を傾げる。
嫌い?俺が七星のことを?
んなわけねぇし。
嫌いになんて、一生ならねぇっつの。
「友達にも忘れたいって言ってるの聞こえちゃったし、別れる時も簡単だったし……って、ごめんね?最初に気持ちを押し付けたのは私だよね……っ」
「……意味わかんねぇ。何でそうなるわけ?」
「え?」
「嫌いとか言った覚えないし。フラれたのは俺だろ?……超ショックだったんだけど。」
「ショック……?」
ショックで寝込む……まではいかなかったけど、ショックだったのは紛れもない事実だ。
七星と別れてからの3週間は七星のことばかり考えていて、すっげぇ苦しかった。