【完】腹黒王子の一途な溺愛宣言
イントロが流れ、野田くんが歌い始める。
「上手い……」
聴きほれるほどに、上手かった。
クラスの女子はみんな、野田くんを見て目をハートにしている。
「やばい、野田くんかっこいい!」
「いつもは静かなのに……ギャップがやばいっ」
女子の黄色い声が耳に入る。
野田くんファン、これでさらに増えたよね、きっと。
野田くんが歌っている曲が、サビに差し掛かったときだった。
「行くぞ、心瑠」
「へ!?」
私は青山くんに腕を掴まれ、部屋を出た。
「青山くん、どうし……きゃっ……!」
急に腕を引かれたかと思うと、すっぽり青山くんの胸にはまってしまった。
「……はぁ。なんで俺ばっかり」
「え?」
「なんで俺ばっかり、妬いてんだろーな……」
“やく”………?