ぼくはネコ
僕は耳をすましてみた。

クルマの音は遠くにしか聞こえない。

渡るなら、今。

背を低くして、草を掻き分けると、尖った葉っぱが僕の鼻先をかすめる。

怪我をしている唇にも当たって、痛い。


「だからさー、さっき見たけどいないんだってー」

「絶対いる!昨日もいたもん。てか、毎日いるもん。餌あげたいんだけど、飼えないからあげられないんだもん」

「んー……」

「可哀想って思うばっかりで、あたしなんにもできない」

「いや、俺に教えたじゃん。なんにもしてないわけじゃないじゃん」


銀色のニンゲンの声が少し震えてる。

それを聞いて、僕は飛び出した。
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