善人ヲ装ウ、正直ナ悪党。





「藍には関係ないでしょ」





遥、開き直りやがった。 超絶厄介なパターンだ。





「・・・・・・そうだね。 でも、課長の奥様や剛には関係ある話だよね。 教えてあげないと」





最早、喧嘩腰。 自分でも嫌な言い方だなと思う。 でも、遥が悪い。





「藍は、同時に複数の人に愛されたり、複数を愛したりした事がないから、藍にワタシの気持ちは分からない」





・・・・・・・何言ってるんだ、この女。





おっしゃる通りですけど、何遠まわしにワタシの事『モテない女』風に言ってくれてんの??





フォークをぎゅうっと握り締める。 怒りを全部フォークに集める。






「うん。 全然分かんない。 遥の考え方だと、日本じゃ法に触れちゃうからね。 遥、多夫多妻の国に行った方がいいよ」





腹が立ったので、軽く小馬鹿にしながら遥に言い放つ。






「・・・・・・・・」





遥が無言でワタシを睨みつける。





「で、課長とは別れるんだよね??」






遥に睨まれたところで、痛くも痒くもない。
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