愛し*愛しの旦那サマ。


「ズルイ……」

「何が?」

「何時もはそんな言葉、相手にしてくれないのに……」


なのに、ふいに甘い言葉をかけるなんて……


「幸代こそ」

「……何、が?」

「普段のそーいう幸代の言葉に合わせた時は、大人しくなるよね?」


首を少しかしげて、私を見る臣くん。


ああ。

もう、そんな仕草全部がずるい。

普段、そっけない態度で返すのに、急に接し方を変えられてしまうから、本気か冗談かわからない言葉をさらっと言ってしまうから―…

私はこんなにも戸惑ってしまうんだよ?


「―…寝室、行こうか?」


本日、三回目の微笑みに、私は、


「はい……」


と、頷いた。



< 136 / 498 >

この作品をシェア

pagetop