愛し*愛しの旦那サマ。


『いや~、今、臣の携帯にかけたんだけどね~、出なくてさ~』

「……知ってます」

『えっ?何?』

「いえ……何でもありません。で、主人にどのようなご用件でしょうか?」

『いや~、早速、ゴールデンウィーク本番の今夜、暇かな~と、思って~』

「暇じゃありません。今夜の主人の予定は既に予約が入っていますので」

『予約っていっても、幸代ちゃんだろ~?毎日、一緒に居るんだから今夜くらい俺が連れ出しても問題ないでしょ~』


そんな塚本の軽い言葉に、

問 題 大 ア リ だ わ ! !

と、心の中で叫びつつも、


「いーえ、違います。臣くんは今夜、私の父と会う予定になってるんです」


冷静に答えてあげる大人な私。


『えっ?幸代ちゃんのお父さんって確か九州にいるんじゃないの?』


何でそれが臣と会うことになってんの~?

何で~?何で~?


塚本は、しつこく説明を求めてくる。

が、

いちいち説明するのも面倒臭いので、


「大人の事情です」


とだけ、簡潔に(適当に)答えてあげる。


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