愛し*愛しの旦那サマ。


「臣くん……お次は固定電話様が……」

「まぁ、もしかしたら、お前の親父さんかもしれないし、一応出たら?」


臣くんはそう言うと、パッと私の手を離してしまう。


もぉ~っ……!

私と臣くんのスウィート・タイムをジャマするのは一体、どこのどなたっ!?


でも……

臣くんの携帯電話が鳴った後に自宅の固定電話が鳴り出すパターンで来るという人物は、

きっと、


「はい、櫻井ですっ!」


アイツしかいない……!


そう、思わず強い口調で受話器を取ると、


『幸代ちゃ~ん?おひさ~、俺、俺~!』


相変わらず軽い口調の聞きなれた若い男の声……


予想通り。

塚本潤―…っ!!


「どちらの俺様ですか?」

『さて、どちらの俺様でしょ~う?』

「……切ります」

『わーっ!!待って待って!俺っ!塚本っ!幸代ちゃんの愛する旦那の一番の親友、塚本潤っ!』


慌てて大声で名乗りだす塚本。

ますます通話を切ってやりたい衝動に駆られますわ。


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