愛し*愛しの旦那サマ。
―…それから、数分間の間。
私はその場に顔を伏せたまま、蹲っていた。
何分くらい経ったのかな……
さすがに、ずっとこのままの状態でいたら、
「……」
ただの不審者だわ……
とりあえず、立ち上がろう。
そう思って、ゆっくり立ち上がると、
「―…幸代?」
ずっと、聞きたくて仕方がなかった臣くんの声が……
「何してんの?」
相変わらずクールな表情で私に声をかける。
そんな臣くんに、
「えっ……?何、って……その、ほら……っ」
何か言わねばっ、と思って、とっさに出た言葉は、
「就寝前のお散歩っ!」
やっぱりコレで……
「散歩?」
「そうっ!だから、臣くんがF……じゃなくて、藤枝さんと一緒のタクシーで帰ってきた上に、おぼつかない足取りの藤枝さんと一緒に藤枝さんのマンションに入っていってしまったのを目撃してしまって、慌てて飛び出して、臣くんを待ってたわけじゃないのっ!あまりにも臣くんが出てくるのが遅いからって、六月二十九日という今日の日に臣くんを疑ったりなんて……」
疑ったりなんて、全然してないの……
そう言おうとした瞬間に、涙がぽろぽろと零れだす。