愛し*愛しの旦那サマ。

床に両膝をついて、声を掛けるも、


「……」


まだ眠りから覚めない臣くん。

それなら仕方ない……

何だかこのままじゃ、寂しいので、


「臣くん、眠りながらでもいいので、聞いてください……」


眠れる臣くんに(一方的ニ)話しかけてから出かけましょうか。


「実は―…今から、幸代はお味噌を求めて出かけてきます……目が覚めて幸代がいなくても、どうか慌てないでね。お味噌を手に入れたらすぐに臣くんのもとへ帰ってくるから。でも、もし一人で行かせるのが心配なら―…」


臣くんも起きて一緒に朝の散歩がてらついて来てもいいんだよ?


そう耳元で囁きかけるも、


「……」


目覚めない臣くん。


(目ヲ覚マシタ姿ヲ見テ出カケタイヨ……)


毎回、思うんだけどさ。

こんな麗しい寝顔を見たら、幸代の愛の口付けで目を覚ましてあげたくなっちゃうんだよね。


どうだろう。

今日は成功するかな?

それとも、見事にかわされて防衛されるか―…

はぁーっ―…

そう考えたら、何だか妙にドキドキしてきたっ。

よし。

しばしのお別れの前に、臣くんが寂しくないようにちゅーを捧げてから出かけるとしようっ。


そう心に決めて、スタンバイしようとした瞬間。


< 370 / 498 >

この作品をシェア

pagetop