愛し*愛しの旦那サマ。
「そういうわけで、奥様が見ていた場面は誘惑した後の話なんです」
「……てっきり、酔ったフリをしての誘惑行為かと思いました」
「まぁ、それも当たりですけど」
「あのねぇ……っ!」
「冗談です。ちょうどあの日あまり体調が良くなくて、それでお酒を飲んだのでちょっと気分がわるくなって……」
「……」
ヒトの旦那を誘惑する元気があったくせにぃ……?(疑イノ眼差シ……)
「あと、ここの隣りのマンションに引っ越してきたのは、たまたま気に入った物件だったからです。前に住んでたマンションは元彼と同棲していた部屋だったんで、何だか気分が悪くて……それで部屋探しをして、気に入った物件を見つけたと思ったら櫻井先生のご自宅の斜め前だったんですよ~」
「へぇ~…」
その言葉に関しても、疑惑の眼差しを向けてみる私……
すると、そんな私の視線に気付いたようで、
「もぉ、奥様、信じてくださいよ~」
と、無邪気な口調でF。
「今までのことがありながら、すぐに信用しちゃうほど、私は心の広い人間ではないのデ!」
「それは残念です……」
「ええ、こっちも残念ですっ」
そんな感じで、もう、偽笑顔なんて何時の間にか生産中止状態になっていると、
「あっ。大変!もうこんな時間……」
と、腕時計を確認しながら大袈裟にF。