愛し*愛しの旦那サマ。

なんだ~写真か~

そう思って、私は理沙子に、


「さすが理沙子ぉ~このスーツ姿の臣くん素敵でしょ~?!これはね、結納の時の貴重な一枚なの~」


と、解説を始める。

ソファー後ろの壁は、私と臣くんの今までの愛の軌跡展示場といっても過言ではない。

知り合ってから今までの写真が何枚、いや、何十枚??も大事に飾ってあるのだ。

その中で、一番大きく引き伸ばして飾ってある写真が、結納時のスーツ姿で煙草を咥えている一枚。


うふふふふ、と、あまりにもの臣くんの素敵なスーツ姿に思わず口が緩んでしまう。


そんな私を理沙子はドン引きした顔をして見ている。


「じゃあ……この写真は何?」


壁際に寄って、次の一枚を指差して訊ねる理沙子。


「あっ、それは、貴重なお風呂上りの髪を乾かす前の写真」

「こっちは?」

「大学の卒業式」

「……うちらと臣くん、大学違うよね?」

「うん。K大卒業式典会場に潜入して隠し撮った」


理沙子の質問にニコニコと回答していく私。


< 9 / 498 >

この作品をシェア

pagetop