Last Story
1*はじまり

 高1の冬━

「さっむ!!」


 午後21時30分。誰もいない駅のホームであたしは
1人、電車を待っていた。


 坂井 莉花 (さかい りか)。16歳。

 1時間に1本しか来ない電車は
あたしにとっては大の辛さ。


 しかも誰もいないなんて、心の中では虚しすぎる。


 どうしてあたしがこんな時間に電車を待っているのかというと
ここはド田舎。だから遊ぶ場所なんて一つもない。

 そして、今日は日曜日。あたしは友達と
一時間かけてすこし都会の町に遊びに行っていたのだ。


 楽しすぎて楽しすぎて田舎者のあたしにとっては
その町がだいぶ羨ましすぎた。



 もうすっかり暗くなり、帰ろうとケータイの画面を見ると20時過ぎ。
ちなみにその町に着いてから一度も時間を気にしていなかった。



 これが今日までの経路。


 20時台の電車に間に合わず、もう待つこと50分。

 あと10分で電車が来る。



 その時、一人の男性が
改札からホームに出てきた。




 その人は寒そうに巻いていたマフラーに顔をうずませ、
あたしの席から2つあいた所に座った。



 真っ黒なコートに真っ黒な、スーツみたいなものを
穿いて、視線は地面を向いている。


 何かあったのかな・・・
あたしはじっとその人を見つめてしまった。



 これはさすがに男の人もあたしに気付き
少し驚いた様子であたしを見返す。



「ん?俺の顔に何かついてる?」




「えっ?あ、いやその・・・」
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