不謹慎ラブソング
「金井さんの絵、上手いよねー。」
文章を書く部活だと言うのに、カッコつけて馬鹿らしい小説を書いている同じ一年生が、金井。
不潔っぽい外見と、耳障りな声と、読んでいてイラつく小説。
設定だけで半分以上が埋まっていて、ストーリーはまったくない。
けれど、その作文を皆に読ませては設定を細々と説明して作家気分に浸っている。
いつもヤケに凝った設定画を描いていて、絵が上手いということで先輩たちに騒がれていた。
絵の依頼を受けて、二つ返事をしている金井を見て、よく気分が悪くなった。
絵の担当は、四月に部長だと決まったのに。
部長には、誰も絵を頼まなくなって、結局仕事のなくなった部長は一年生の世話係をやらされていた。
人と喋ることが苦手な部長は、結局教室の隅の方で無口な一年生と漫画の話ばかりしては二時間を無駄に過ごしていた。
そして、夏になれば引退した。