たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~
「そうよね。でも、この女の子って何者よ。うちに来た時もそうだったけど、この写真でも惟様の隣に当然のような顔して立ってるじゃない。ここってマネージャーの場所じゃなかったの?」


「うん、私もそのこと思った。だって、マネージャー、前から惟様と仲がいいし、信頼もされてるっていう感じでしょ? 絶対にあの二人、付き合ってると思うのよね。それなのに……」



そう呟いたスタッフの一人がテーブルに置かれている雑誌を弾いている。そこに躍っているのは、『熱愛発覚』・『一條家令嬢と婚約』というような煽情的なもの。

この文字列に、彼らの表情がどんどんと固くなっていく。それは、これを認めることはできない、というもの。そんな重苦しい空気の中、別の声が割って入ってきていた。



「あなた方、何をしているの? 開店まで時間がないのよ。早く、準備なさい。今日は定休日じゃないでしょう」


「マネージャー、おはようございます」


「おはようございます、マネージャー。すぐに準備します」


「申し訳ありません。あ、それは私が……」



スタッフはこの場に現れたのが、この店の責任者でもある南原千影だということに気がつくと、あたふたと準備を始めている。その姿に大きくため息をついた千影の視線がある一点で止る。そこには、スタッフが見ていた雑誌が片付けられることなく置かれていたのだ。

このようなものが店内にあると品位が下がる。そう思った彼女はツカツカとテーブルに近付くと雑誌を手に取っている。そのページを飾っている写真を目にした瞬間、彼女の顔色はすっかり青ざめてしまっていた。

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