たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~
「は、はい……ちょっと言いそびれておりました。それより、少し気分が悪いので、本日は上がらせていただいてもよろしいでしょうか?」


「うん? そういえば、顔色が悪いね。本当は竹原の話を確認したいんだけど、仕方がない。この話はまた後日ということで。ゆっくり休むように」



そう告げると惟はスッと立ちあがり、その場を後にする。その彼の様子に、千影の膝から一気に力が抜け、床にクタクタと崩れ落ちる。

今の彼女の頭を占めていること。それは惟が自分の言葉を信用していない。そのことだけ。

たしかに口ではそのようにハッキリとは言われていない。それでも、態度の端々から間違いなくそれがうかがえる。そのことに気がついた彼女は、自分の想いが叶わないのではないか、ということに今さらのように気がついていた。



「惟様……どうしてですか? もう、ダメなんですか? 私、ずっとあなたのことを……」



そう呟く彼女の頬を涙がとめどなく濡らしていく。だが、今の彼女はその涙をぬぐう気にもなれない。ただ、恋しい相手のことを考え、その名を呼び続けるだけ。

そんな時、彼女の脳裏に浮かぶある人物の影。多分、あの相手も自分と同じような思いを抱いているはず。そんなことがふと頭によぎる。となれば、このことを利用しない手はないではないか。

そう思った彼女は乱暴に涙をぬぐうとデスクの上の電話に手を伸ばしている。そこからある番号をプッシュした彼女は相手に繋がることを心から祈っていた。



「……ですか? 南原です。お話したいことがあるんです。よろしければ、お時間いただけませんか? はい。それでは今晩。ありがとうございます」



to be continued


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