たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~
それでも、今のアンジーを拒絶してはいけない。そんな思いを彼女は抱いてしまった。

だからこそ、彼女は彼の差し出す腕を受け入れる。だが、そのことを気恥かしいと思う気持ちは間違いなくある。だからこそ、俯いてしまったのだが、そのために彼の表情が見えていない。

もっとも、見てしまったら逆に困惑したかもしれない。なにしろ、今のアンジーが彼女に向ける表情は、惟が彼女に向けるものとほとんど変わらないのだから。

だが、それもほんの一瞬。次の瞬間には、アンジーはいつもと同じ調子で彼女に声をかけていた。



「よかった。じゃあ行こうか。ここで立ち話するのも目立ってしまうだろう? 惟にはちゃんと了解とっているけど、お互いに嫌な気持ちしたくない。そうでしょう?」



ニッコリ笑って告げられる言葉に、亜紀も思わず笑い出している。そのままラ・メールへと歩き始めた時、アンジーがさり気なく車道側を歩いている。こういう心遣いは、惟と同じ部分がある。

そう思った亜紀の頬が微かに赤くなっていく。もっとも、これは彼の行動から惟のことを思い出したからに他ならない。

それでも、彼女がどこか照れたような顔をする。そんな顔を見ることができたことで、アンジーの頬もどこか緩んでいく。そうやって歩く二人の間には、恋人同士ではないがどこか甘い雰囲気が漂っている。それは、彼の容姿がフワフワとしたものであるということが大きいのだろう。

そして、辿りついたラ・メール。そこで、亜紀は躊躇うことなく外が見える窓際の席に腰かけようとしていた。そんな彼女を慌ててアンジーが止めている。



「亜紀ちゃん、そこはダメ。惟に怒られるよ」


「どうして?」
< 136 / 244 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop