たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~
玲子の発言に亜紀は目を白黒させることしかできない。いくらなんでも父親と同じくらいの相手を名前で気軽に呼ぶことなどできない。そう言いたげな色が彼女の顔には浮かんでいる。そんな亜紀の様子に、玲子は残念そうな声で応えている。



「亜紀ちゃん、遠慮しなくてもいいのよ。だって、もうすぐ惟のお嫁さんになってくれるんでしょう? だったら、話は早いじゃない。こういうのって、ちょっとでも慣れておいた方がいいの」


「そ、そうでしょうか……」


「そうよ。だから、お義母さんって呼んで? それとも、亜紀ちゃんは惟のこと嫌いなの?」



玲子の問いかけに亜紀は慌てて頭を振っている。ここで否定しないとどのように話が転んでいくのかわかったものではない。そう思う彼女の体を玲子は思いっきり抱きしめていた。



「よかった。亜紀ちゃんが惟のこと嫌いじゃないって分かって、ほんとに安心したわ」


「あ、あの……おばさま……苦しいです……」



ここで玲子に抱きしめられるとは思っていなかった亜紀の微かな悲鳴が上がっている。遠慮なく抱きしめてくる力は半端ないものとしかいいようがない。

見た目は華奢としかいいようのない玲子の腕に、これほどの力があったのだろうか。そんなことを思う亜紀は、なんとかして自由になろうとジタバタする。しかし、相手の力が緩む気配はない。

どうして、こんなにスキンシップの激しい相手ばかりが身近にいるのだろう。そんな思いも亜紀の中には間違いなく浮かんでいる。



「おばさま、お願いです。離してください」


「イ・ヤ。離して欲しければお義母さんって呼ぶか名前で呼んで」
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