オフィスの甘い獣(ケダモノ)
副社長は甘い囁きが鼓膜に残っているけど…


私はデスクに戻った。


口紅の濡れとは違う唇の濡れに顔が朱色に染まる。



彼は私の反応を横目でチラリと流し見て…先ほどの会議の資料を真剣に見つめ、内容を吟味していた。



「副社長は社内恋愛…初めてではないですよね…」



「ん?どうしてそんなコトを訊くの?」



「…だって…要領が良すぎるから…私なんて…」



男性経験も交際も副社長が初めてで…どう対処すればいいのか…迷ってばかり。

副社長に全て任せておけばいいんだけど…

受け身のままで本当にそれでいいのか…悩む所。



「…社内恋愛は初めてだ…社内で女を見つけなくても…出会う場所は沢山あるし…元々…会社は仕事する場所だ」



「じゃあ~どうして私に?」


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