先輩と私。

すると、ふいに騒がしい声が聞こえてくる。

振り返れば、着替え終えた部員達が部室から出てきたところだった。


元気だなぁ……。


そんな姿を見て、あたしは思わず小さく笑みを漏らす。


「あれ、梨乃ちゃんまだ残ってたの?」


一人の先輩があたしに気づき、話しかけてくれた。


「はい。
あの、キャプテンにちょっと話があって……」

「あぁ、ヒロならまだ中にいるよ。
もう着替えてる人いないから中入って大丈夫だと思うけど」

「ありがとうございます」


先輩はあたしにそう教えてくれると、また明日ね、と手を振りながら帰っていった。


また明日……か。


……きっと明日の今頃にはあたしはこの部の人間じゃなくなってる。


……そうなれば、先輩達と会う機会なんてほとんどなくなってしまう。


帰っていく先輩達の後ろ姿を見つめながら……あたしは胸が苦しくなるのを感じた。

< 2 / 13 >

この作品をシェア

pagetop