御劔 光の風3
きっと長も彼女と同様に何かを知っているのだ。

「俺が仕えている王が欲しているんです。」

長は貴未の言葉を理解しようと、すぐには思いを口にはしなかった。

視線を貴未から日向へと移して彼から何かを感じ取る。

「そちらの御方、日向殿と仰ったか。」

「は、はいっ!」

急に自分に振られ、日向は反射的に勢い良く返事をした。

長の対象が日向になったことに貴未は不安を覚える、しかしどうにも出来ない状況に見守るしかなかった。

「火の精霊・祷(いのり)をお連れですね。」

その一言で一瞬にして空気は張りつめた。

たじろぎ視線を泳がす日向の表情に動揺が見られ、祷の存在を知らない貴未はそれを見ていた。

「日向、本当か?」

火の力を日向が持っているということはごく限られた者、御劔関係者しか知らされていない。

この事を耳にしたことで貴未も何かの可能性を考えるだろう、日向は悪いことをしているような気分になり貴未から視線を逸らした。

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