御劔 光の風3
「お前がそれを抑える役で二人はいつも共にいた。お前の力は空間を飛ぶこともそうだが、永の力を操縦出来ることだ。二人を足せばおそらく玲蘭華をも超えるだろう。」

一つ大きな鐘が身体の中で鳴った気がした。

常に二人でいろと言われた訳ではない、しかし二人はいつも一緒にいた、それが当たり前だった。

離れてはいけないという大切なことをおそらく自分たちで分かっていたのだろう。

やはり彼女は片翼だったのだ。

瞳の揺らぎは止まった、貴未はこの先の道を決めたのだ。

「巻き込まれ方にも形がある。戻るべきではないぞ、貴未。」

生まれ故郷とは違うあの国が好きだった。

頬を撫でる風も、空高く輝く太陽も、夜空を彩る星も月も、あの国に住む人間も好きだった。

料理も口に合い、仲間たちと過ごしたあの日々はかけがえのないものだ。

そしてその場所を与えてくれたのが他でもないカルサ・トルナスだったことを貴未はよく知っている。

貴未にとってカルサは恩人なのだ。

しかし彼が全てを知った上で貴未を傍に置いていたのだとしたら、もう元の様には戻れないだろう。

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