御劔 光の風3
「全世界の運命が狂わないように監視し、修繕する。それが監視者の役目であり神と言われる所以でもある。空間を飛べる力も世界を監視する為に必要な力だった。ただ…玲蘭華の力は強くそれ以上のことが出来た。」

<永>の中でマチェリラはこれ以上聞くことを拒むように両手で耳を押さえ固く目を閉じた。

日向は全く付いていけない話を受け入れていくだけで何かを考える余裕は無い。

「彼女は新たに歯車を創り、それを組み込むことが出来たのだ。」

「それって…つまり…。」

「世界のカラクリを狂わせることが出来た、ということだ。」

良くも悪くもと長は続けたが貴未の頭の中には入ってこなかった。

それは神官というレベルの話なのだろうか、世界を治める王を凌ぐほどの力ではないのだろうか。

話が大きくなりすぎて他人事になりそうになるが長の言い方ではそうではない筈だ。

「そして永も玲蘭華と同じ力を持っている。」

貴未は手の中の球体を見つめてその瞳を揺らした。

中にはマチェリラがいる、しかし今はそのことなど忘れてしまっているだろう。

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