君の『好き』【完】
私は小さく首を振った。
私、何してるんだろう。
なんで、吉井くんの恋を応援してるの?
バカじゃん、私。
気持ちを伝える前に、振られてんじゃん。
はぁ......
ため息をついてから、ストローをくわえた。
「じゃあ......行くか。飲み終わったか?」
私はストローを口から離して、
トレイに戻した。
「もう、いいや」
なんかもう、胸が痛くて、苦しくて、
飲めなくなってしまった。
吉井くんは、立ち上がってバッグを斜めがけすると、
トレイを持ち上げた。
「あ.....私が片付けるよ」
私も立ち上がってトレイを持つと、吉井くんがジュースのカップを上から持って、
横に振った。
そして、そのまま何も言わずに、
目をそらしたまま、
目の前でストローをくわえてジュースを飲んだ。
わぁ........
飲み干すと、またトレイに戻して私からトレイを奪った。
「甘っ」
そう言って吉井くんは、ゴミ箱の方へと歩いて行ってしまった。
どうしてこんなことするの.......
ドキドキしちゃうじゃん。
もっと、好きになっちゃうじゃん......
下を向いて目をこすると、リュックを背負って、
吉井くんの後を追いかけた。