ツンデレくんをくれ!
満面の笑みの中出はかなりレアだ。


悔しいけど、あたしは嬉しいと思っている。


「ほんと、腹立つわー」

「奈子さん、うっさい」


あたしはぶすっと口を歪めてズルズルとラーメンを啜った。


こんな時でも、中出を前にすると食べるスピードが普段の二倍以上遅くなる自分が憎い。


どんだけ中出が好きなんだ。


どんだけ乙女なんだ。


「ラーメンの音もうるさい」

「中出もうるさいよ。ほっとけ」

「うん、一旦黙れ」

「お前が黙れ、くそガキ」

「タメじゃねーか」

「見た目の問題」

「死ね」

「お前が死ねー!」


あたしの声は、低いわりによく通るのだ。


次の瞬間、お店の中が静まって、中出が笑いを必死に堪えていたのは言うまでもない。


ちなみに、こうやって中出と言い合いながら食べるラーメンは格別においしかったことは死んでも本人には言えない。


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