ツンデレくんをくれ!
楽しかったのだ。中出と話して、黙れだの死ねだの、傍から聞いていれば軽口にはとても聞こえない中出の言葉が嬉しかった。


中出の顔を見て、傍にいれて、笑ったことがすごく幸せだった。


カップルらしいことはほとんど何もしなかったけど、あたしはそれでよかった。傍にいて話すだけで、友達みたいな気楽に言い合えることがすごく幸せだった。


でももう、それは終わってしまった。戻って来ない。過去のこと。


わかっていた。これは終わりがやってくると。どんなに笑い合ったって、どんなに死ねと言い合ったって、あたし達には最初から既に終わりがはっきり見えていた。


だったら、いっそのこと中出の言葉通り死んでしまえばよかった。


悲しくなるなら、終わるとわからぬままいなくなってしまえばよかったのに。自殺でも他殺でもいい。感情なんかなくなってしまえる事態になればよかったのに。


他の人が聞けばおかしくなっているとしか言えないまでに、あたしは悲しみに暮れた。


恥ずかしくなると共に、あたしは毎晩一人で泣き明かした。


自分のしたことに羞恥を覚え、終わってしまったのだという事実に悲しくなって、二つの思いが重なって自然と涙が溢れて止まらなかった。


ご飯をろくに食べず、大学も休みがちになった。


ただ、なぜか部活とバイトだけは休まず行った。


好きな人を失ったからって、部活とバイト先だけは行かなければならないという使命感があったから。


部活では、あたしはこれでも女子の部長だ。迷惑になりたくないというよりは、休んで何かを感づかれたくないという思いが強かった。


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